高校生だった私にとって、大人は子どもを叱るのが普通だと思っていた。
出来の悪い私が、あまり大人から褒められる機会がなかっただけかもしれない。
まぁ、どちらにせよ、そんな大人という存在に良い印象は持っていなかった私。
だけどバイト先のマネージャーは知っている大人とは違う眼差しだった。
何をしたわけでもない。
ただ出勤時に目を見て挨拶をしただけだった。
たったそれだけのことで、満面の笑顔で
「おはよう!気持ち良い挨拶ができていいねぇ!ありがとう!」
と、私を褒めてくれたマネージャー。
心がふわっとしたのを今でも鮮明に思い出せる。
それからだ。
会うたびにマネージャーは、ただのバイトの私に、会うごとに笑顔で挨拶をしてくれるようになった。
それが嬉しくてマネージャーを見ると自然に笑顔になる。挨拶がしたくなる。
そうすると、マネージャーは笑顔がいい、声がいい、元気が貰えると、色々な言葉で褒めてくれた。
その毎日の繰り返しが、少しずつ私に自信を与えてくれた。
人見知りな私が、初めての人に対しても、少しずつ笑顔で接することができるようになったのも、マネージャーのおかげだと思う。
今思うと、倫理観を焼却炉に捨てた適当な先輩(前話登場)も、このマネージャーにはペコペコしていた。
自分も責任者を経験して分かったが、責任のある立場で、いつも笑顔を絶やさないというのは簡単じゃない。
時には厳しいことも言わなきゃいけない。
感情に流されそうになった時は、マネージャーの顔を思い出してグッと踏みとどまる……ことが、できたらよかったけど簡単じゃなかった。
歳を重ねた分だけマネージャーの凄さが身に沁みて分かる。
良い上司に巡り会えたのは、本当に運がよかったんだろうなぁ……
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