人件費を削減したいけどリスクってないの?
人件費の削減を考える会社が意外と見落としがちなのが『採用教育費』。
採用教育費とは、その名の通り、『採用』と『教育』にかかるコストのことです。
人件費削減は手順を間違えれば人が辞め、採用教育費が掛かり、費用が逆に増えるという結果を生むことに。
この記事では流れを理解しやすいよう、人件費を削減するための注意点のあとに採用教育費を削減するポイントについて紹介していきます。
人件費を削減するための具体的な手順
人件費の削減には、業務の効率化が必須。そのための手順を紹介します。
まずは、負担の多い業務を書き出します。例を挙げると、
- 売上や仕入れのデータ入力
- 顧客情報のデータ整理
- 営業などの外回り
- 顧客対応オペレーション
- 日報などの報告作業 等々……
書き出し終わったら、業務を効率化する方法を考えます。
効率化の方法は、大きく分けると以下の5つ。
- 新しいシステムの導入
- 必要ない業務の廃止
- 業務割り振りの見直し
- 業務の外部委託
- スタッフ教育による効率アップ
次に、書き出した問題点と効率化の方法を組み合わせて解決方法を検討します。
例えば「売上等のデータ入力」で考えると、
- データ入力を自動化するシステムはないか?
- そのデータは本当に必要なのか?
- データ入力の担当部門が適正か?
- データ入力を外部委託できないか?
- 担当のスキルを磨いてスピードアップできないか?
という形で、一つずつ検討していき、どれを実際に行っていくか決めます。
この時に「全部しなきゃ」と思いがちですが、一気にやり始めると、スタッフの負担が大きくなり、結果うまくいかなくなるので、優先順位を決めましょう。
優先順位を決める基準は『費用』『コスト回収期間』『持続性』など色々あり、会社の状況によってどこを重要視するかは変わってきます。
……が、一番はじめに取り組むべきものは『スタッフ教育による効率アップ』です。
なぜなら、新しいシステムを上手く運用するにも、重要度の判断をするにも、チームを作っていくのにも、すべて『有能なスタッフが必須』だからです。
そのためには、スタッフを教育する『中間管理職の指導レベルのアップ』が重要。
中間管理職の指導レベルが高いと、有能なスタッフが育ち、前述したような業務の効率化なども自発的に進む環境ができます。
そして何よりスタッフの離職率が下がります。
効率化が進み、離職率が下がる……と言った感じで、人材育成は早くに手掛けるほどメリットが大きいので、ぜひはじめに取り組んでみてください。
人件費削減の失敗例
人件費の削減をすすめていて、最も痛い失敗パターンは『有能なスタッフが辞めてしまう』というもの。
何かを変える時に、負担を抱えるのは現場スタッフです。
その中で特に負担が多いのは、中間管理職や仕事を任せやすい熟練スタッフ。
- 人件費削減の必要性を理解している
- 責任感に追われて無理をする
- 周りからの反発に心が追い込まれる
単純にスタッフへの負担が増える削減方法を選ぶのではなく、会社としての投資も視野に入れた形でサポートに入らないと、上記のような環境に追い込まれた有能なスタッフが辞めてしまうことになります。
そうなると、採用教育費が別途必要になってしまうので、スタッフへの負担を考慮した方法の選択と、自発的にコストカットをすすめてくれるスタッフの育成が課題となってきます。
人件費削減を失敗しないために必要な手順
人件費の削減は方法や手順を間違えると、
- 変化について来れず人が辞める
- 一人当たりの負担が増える
- 負担に耐えられず人が辞める
- 熟練スタッフに負担が増える
- 職場環境がギスギスする
- 新しい人を雇ってもすぐに辞める
- 残ったメンバーで生産性の低い仕事をする
- 3に戻る
と、極端な例ですが上記のような悪循環が、少しずつ広がっていきます。
こうなってくると、教育採用費が増えてしまい、結果費用が増えることに。
この悪循環を断ち、離職率を下げるためには、業務負担を上手くさばけるスタッフを増やしておくことが最重要。
そのためには、スタッフを育てる立場である「中間管理職が育つ環境の整理」が大きな鍵を握ります。
採用教育費を削減するキーマン『中間管理職』を育てる
中間管理職を育てるポイントは、
- 相互理解
- 2番手の育成
- 学びの投資
上記3つです。それでは順に説明していきます。
中間管理職を孤独から救う『相互理解』
上層部と部下のクッション役で、理解者が圧倒的に少ない立場の中間管理職は、誰にも言えない孤独と戦っています。
このストレス渦の中では、視野も狭くなり、スキルアップや人材育成など手に付かないというパターンも少なくありません。
上層部が業務量をただしく理解し、気持ちに理解を示すだけでもストレスは大きく変わります。
ただし、中間管理職側の気持ちだけを優先してしまうと、企業として成り立たないのも事実。
理解を示し、相手にも理解してもらえる関係性を作ることが大切です。
- 任せている業務が適正か
- 上層部としてどんなサポートが必要か
- どんな経験をさせる必要があるか
と、いったことを考えながら、週一回くらいを目安にコミュニケーションをとることをお勧めします。
中間管理職を育てるために必要な『2番手』
中間管理職を育てるのに最も有効な手段は『2番手を育てさせる』ことです。
人を育てるためには、業務の正しい理解と、それを伝えるための論理的な思考が必須。
2番手を育てる過程で、上記のスキルが身に付くだけでなく、自分の負担を将来的に減らすことができます。
結果『マネージメントスキル』が伸び、『業務負担によるストレス』が減り、仕事に取り組みやすい環境を作ることが可能に。
「人件費が増えるのでは?」と思われるかもしれませんが、人が定着する環境を作ることができれば、採用教育費が将来的に削減できるので、投資と割り切りましょう。
中間管理職に自信を与える『学びの投資』
中間管理職が抱える不安を減らすためには、自信を持たせることがポイント。
経験や成功体験といったもので、少しずつ自信は積みあがるものですが、てっとり早く自信を持つには『自己啓発』『資格獲得』といった学びへの投資が人気です。
セミナーやコンサルタント業が無くならないのは『自分に自信を持ちたい人』が一定数いる証拠なのではないしょうか。
ここまで読んで思い切りの良い会社だと「コンサルに依頼してみよう」となったりするのですがおススメできません。
コンサルとなると安くない(百万円単位)うえに、残念ながら経験上「はずれ」と感じるものの方が圧倒的に多かったので、慎重に判断してください(もちろん良い会社もあります)
個人的に、中間管理職が一番はじめに学ぶべきことは『人を育てるためのコミュニケーションスキル』だと思います。
ここに関しては別記事にて詳しく紹介していますので、よければ参考までに⇒部下の能力を引き出す魔法のコミュニケーションスキルとは
『採用教育費』にかかる平均コストは1人当たり最低70万円以上
参考までに少し前のデータでの試算ですが、
- 採用コストは平均で50万円以上(参考:株式会社リクルート 様「就職白書」)
- 育成コストは平均で4万円ほど(参考:労働総合研究所 様)
- 新卒の平均月収20万円ほど(参考:就活の未来 様)
と、業務を1か月で覚えたと仮定しても、一人あたりで最低でも70万円以上必要と考えておいた方が良いでしょう。
また、会計上での処理方法などは、こちらのサイト様が見やすかったです⇒参考:クラウド会計 様(外部サイトリンク)
採用教育費を削減する方法
ここまでは「人が定着する環境を作って採用教育費を削減する」ということを目的として紹介してきました。
……が、人が辞めない会社なんて存在しません。
年齢だったり結婚だったり、家庭の事情だったり。会社がいくら努力したところでどうしようもない部分が存在します。
その場合に、人材募集費用を下げる方法を知っておくとお得かと思いますので、紹介させていただきます。
早速結論から言うと、自社のホームページに人材募集ページを作ることをお勧めします。
まず、求人サイトに掲載するには最低でも月間20万円前後は必要になります(参考サイト:みんなの採用部 様)
この方法も悪くはありませんが、採用に至らなかった場合の費用が定期的にかかってしまいます。
では、求人サイト以外で、どうやって効率的に人材募集を行うか。
- SNSから人材募集ページへ人を誘導する
- 自然検索から人材募集ページへ誘導する
- リスティング広告から人材募集ページへ誘導する(有料)
といった方法があります。
意外と知られていないのですが、自社サイトに人材募集ページがあると大手人材募集サイト『Indeed(インディード)』へ無料で掲載される可能性があります。
簡単に説明するとIndeedは、各サイトの人材募集ページを自動で収集するシステムがあり、そこで必要条件を記載しておけば掲載されるという仕組みです(詳しくはこちらをご参照ください)
色々な流入経路が期待できるので、自社ホームページで人材募集ページをつくるメリットは多いと思います。
人材募集ページは、Wordpressで作られたサイトで、ある程度触れる人が社内にいれば、割と簡単に作成できるので、費用は掛かりません。
もし、デザインや内容にこだわりたいのであれば、デザイン会社に発注したり、システムを購入するといった方法もあります。
<システム参考>
サーチプラスfor求人
こだわると金額のキリがありませんが、色々と県や国からの補助金があるので、上手く活用できるものがあれば、費用を大幅に抑えることができます。
【最後に】管理職を孤独にさせないことが最も重要
繰り返しになりますが、人件費の削減をすすめるためには、人が定着する環境づくりが必須条件になります。
その為には、中間管理職へのサポートや、コミュニケーションの強化が必須。
この記事がコストカットと合わせて、よい職場環境が作れるきっかけになれば嬉しいです。
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