【接客業から始まった人生:第2話】優しいおじさまの一言

アルバイトをはじめてから最初の夏休み。

普段と違うお客様の量にアタフタする高校2年生の私。

いつもなら一日の最後に回収すれば間に合うゴミ箱が何度もいっぱいなる。

しかも嫌がらせかと思うくらい汚い。

ゴミ掃除してるのかラーメン作ってるのか分からないくらいお店の中を行ったり来たり。

そして何と言っても外が暑い……(ゴミ箱が店外にあるテイクアウト可能なタイプのお店だったんです)

もうぐったりですよ。

かわいい子どもの笑顔を見ても、多少子どもが引く程度の乾いた笑顔にしかならないレベルでぐったり。

それに追い討ちをかける「ゴミいっぱいじゃん。どこに捨てればいいの?」というプチおこなお客様からの一言。

心が折れる!!

いや、お客様も暑いからイライラしてるから仕方ない!

心の中で号泣しながらゴミを受け取り処理する私。

粛々とゴミをまとめる。

ずっと中腰で背中もバッキバキ。

ある程度片付け終わって視線をあげると、後ろに一人のおじさま。

「暑い中大変だねぇ、ラーメン美味しかったよ。ありがとね」

いつからそこにいたのか。

私が片付け終わるまで待っててくれたのかもしれない。

申し訳なさと、感謝の気持ちが混線してテンパった私の口から出た言葉は「嬉しいです!」という意味不明なお気持ち表明。

ニカッと笑っておじさまはお孫さんと一緒に去って行く。

『仕事をちゃんと見てもらえるのは、こんなにも嬉しいんだ』

その時私は学びました。

今自分が責任者という立場になっても、その時の気持ちは忘れていません。

できる限り部下や仲間の働きを見て、声かけを心がけています(まぁ、至らない部分だらけですが)

こういった心温まる体験ができるのも、接客業ならではですよねー。

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