【接客業から始まった人生:第7話】反抗心から生まれた学びの心

激烈にポンコツだった19才のころの私(もちろん今だってポンコツ)

ちょっと仕事を覚えて、任せられることが増えてきて調子に乗り始めていたあの頃。

お局マダムとのすれ違いにヤキモキしはじめて、何がいけないのかを考えた結果

「はっ……!!もしかして自分がバカだからダメなのでは……!?」

と、会心の閃き。天啓。

きっと自分が仕事についてもっと勉強して、頭が良くなれば、ちゃんと認めてもらえるのではないか……?!

そうとなったら動くしかない。

さっそく大手書店の自己啓発コーナーに足を運ぶ私。

猿でもわかる接客の基本、経理入門、投資で儲かる10の裏ワザ……ふむ、どれから読めばいいのか分からん!

分からん……が、この空間にいるだけで、なんか出来るビジネスマンみたいじゃね?

と、危うく何も買う事なく満足しそうな自分に打ち勝ち手にしたのは、某夢の国で働いていた人が買いた「感動を売るサービス」という一冊の本。

1200円くらいだった。

ワンピースが2冊は買える。

少し迷った。

どうやら私には雑念が多すぎる。

でもダメだ。ワンピースを読めば心は豊かになるが、私の頭は豊かにならない。貧しいままだ。

意を決してレジへ向かう。

レジで並んでいる間「まぁ、あんなおバカそうな子が自己啓発本だなんてちゃんちゃらおかしいわねプスプス」みたいなことを思われないか恥ずかしくなってくる。

でも負けない。私負けない。お局マダムにも負けない。

ドヤ顔で精算を済まし、さっそく車の中で読み始めてみる。

………

んおお……

……オモロいやないかい……!!

え、なに、ちょっとまって、ビジネス本って面白いじゃない///

と、その日から読書にどっぷりハマる私。

知識が付いたかは定かではないが、勉強をしているという事実が自分に自信をもたらしてくれた。

何より視線が変わった。

今までと世界の見え方が変わった。

のちに私は転職の道を選ぶことになるが、間違いなくこの日が人生の岐路だった。

ちなみに、お局マダムとの和解は実現しなかった。

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