【接客業から始まった人生:第6話】お局様とすれ違う私

どんなに良い職場でも、人が増えれば合わない人も出てくる。

順風満帆に思えた社員として初めての職場も例外ではなかった。

少しずつ責任ある仕事を任され始めたころ、担当部署が変わった先にいたパートのマダムさん。

マダムさんはいわゆる「お局さま」と呼ばれるポジションの方で、何人ものスタッフがマダムの口撃に耐えられずドロップアウトしていた。

最初のころは部署が変わったばかりで、教えていただくことばかりだったからキツイと思わなかった(周りの先輩方から見るとキツかったらしい)

というのも、パワハラ的なタイプではなくて、嫌味路線が得意なマダムだったので、頭の悪い私は嫌味を理解できていなかったのだ。

ごめんよ、マダム。頭悪くて……

そんな私を見かねた、優しいパートの菩薩のような方が毎週出勤日に、そっと朝仕込みの手伝いに来てくれるようになった。

なぜ無償で仕込みを手伝ってくれているんだろうかこの菩薩様は……?

と、思って聞いてみた。

「あまりにも高卒店長くんが可哀想で……」

と、涙ながらに私の状況の説明と励ましの言葉をくれた。

なんと……そんなに嫌味を受けていたのか私は……!!

なんて酷い!こんな優しい方を泣かせるなんて!

嫌味を言うならもっと私が理解できるレベルに合わせて欲しいものだ!!

と、憤慨したものの、自分が受けていた嫌味の内容はそれほど理解できていなかった。

そんな私も少しずつ成長して「むむ?今のはもしや嫌味か?」と勘づけるように。

でも、実際自分が出来てないことだから納得はできていた。

ただ、少しずつ自分にできることが増えるに連れて、お局さまの言葉で人がやめたり、自分なりに考えて進めた案件に耳を貸して貰えないことに幼かった私は反発心を覚えていくのであった。

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