
スタッフ・社員のモチベーションアップがなかなか出来ず、コンサルタントさんに依頼してみてはどうかと考えている方にお伝えしたいことは「外部にお金を使うくらいなら、人件費に充てたほうが、比べるまでもなく遥かに有意義」ということです。
僕自身もいろいろな会社から「社員のモチベーションアップをしませんか」という名目で資料の送付を受けました(というか、会社の指示でそういう会社のセミナーに参加したことが何度かあります)が、大変失礼ながら正直無駄金だったという感想以外はあまり思い浮かびません。
もちろん全てのコンサルタントさんがダメだという意味ではありません。
「優良なコンサルタントさんはかなり希少」ということです。
15年以上、接客業の責任者として従事してきて、モチベーションアップの効果があったコンサルタントさんには、僕自身が1人しか出会ったことがないだけなので(しかもそれは、単に店舗立ち上げの際に担当してくれたコンサルタントさんで、人材育成の分野とは関係ない方)、かなりの低い確率で優良なコンサルタントさんもいると思います。
ただ、そんなコンサルタントさんに出会えるかどうかは、正直ギャンブルですよね。
会社自体が有名でも、担当してくれる人が優良かどうかは別ですので。
極端な話ですが、そんなギャンブルにお金を使うくらいなら、社内で頑張っている子のお給料をアップしてあげた方が、遥かに有益なのは間違いないでしょう。
そもそも【モチベーション】は他人が意図して上げられるものではなく、自分であげていく(もしくは維持する)ものですしね。
とはいえ、このまま終わったのでは「じゃあどうやって社員のモチベーションアップさせればいいの」ってことになってしまうので、僭越ながらポイントを紹介いたします。
【即効性:低】社内の育成環境改善

それができたら苦労しない、と言われそうですが、第一ステップとしてはまずここですので……すみません。
一時的なものでは継続しないので、時間はかかりますが先のことを考えたら、やる価値が高いです。
それでは育成環境と言いましたが、それは何かというと、コーチングスキルやリーダーシップを持った社員を育て、適切に部署配置することです。
組織が大きくなってきたときに問題を生む要因として、全体まで管理の目が行き届かない、ということがあります。
実経験からいうと、一人でみれる人員数はせいぜい10名程度です。
それ以上の人数になってくると、言い方が悪いですがコントロールが効きにくくなってきますね。
その問題を解決するためには、会社の意図を理解し、正しく噛みくだいて業務を円滑に回せる人材が必要不可欠になります。
その人材こそ、上記スキルを持ち合わせたスタッフさんと言えるでしょう(理想をいえばメンタルケアスキルも必要な時代ですね)
また、プロジェクトの規模は問いませんので、ボトムアップ形式でできる仕事があるとモチベーションは上がり易いと思いますので、よければ取り入れてみてください。
【即効性:中】ポジションを与える

「立場が人をつくる」という言葉を聞いたことがありませんか?
「お兄ちゃんになった」「先輩になった」「大人になった」と、ステップは様々ですが、自分のポジションを認識することで、そのポジションに見合った責任を果たそうとするのは、人の性なのでしょう。
これは仕事においても同じことが言えます。
先にスパッと申し上げますと、この手法が当てはまらない人も、残念ながらいます。
それは大小問わず「責任を果たしたくない」と考えている人ですね。
いわゆる【ぶら下がり社員(スタッフ)】と呼ばれる人に多い心理傾向なのですが、生活のために就職したものの、できる限り何もしたくない、というタイプ。
それは自分の考えや価値観が、会社と合っていないということもあるでしょう。とはいえ働く以上は、雇ってもらっている以上は「果たすべき責任」があると思いますが……(雇用される側が嫌なら、自立した人を見習って自営しましょうよと言いたい(笑))
と、まぁ話を戻しますと、上記のようなタイプにはNGの手法ですが、基本的には多くの社員にとっては、ポジションを与えられることは、少しずつモチベーションアップにつながります。
なぜ少しずつかというと、最初はプレッシャーが大きいからですね。
そのポジションに慣れ、視界が広がりはじめれば、裏付けされた自信とモチベーションにつながっていきます。
【即効性:高】 外の世界に触れる

いきなり冒頭の意見と矛盾にしているように見えるかもしれませんが【セミナー】は効果的です。
ただし条件があります(ここからが冒頭との違いです)。
それは【受講させる社員にとって、興味・関心のある分野である】こと。
ここがモチベーションアップに重点を置くなら外せない条件だと思います。
モチベーションアップを謳っているセミナーではダメ。興味のあるセミナーならOKという認識ですね(少し皮肉に聞こえるかもしれませんが……これ、事実です)
これは単純な方法ではありますが、効果があるんです。
セミナーを受けた社員の感覚としては「会社が自分のスキルアップのために投資をしてくれた。しかも自分のやりたいことだから、受講していて楽しい」と実感しやすい。といった感じでしょう。
また、外の世界に触れる。という表現をした理由としては、社内にいるだけだと、どうしても視野が狭くなりがちです。
コンサルタントさんを自社に呼ぶ理由として「複数人数に対して、一斉にセミナーを受講させられるから費用が抑えられる」というメリット(?)があったりしますが、『環境が変わらない』『やらされている』という感覚が抜けず、効果半減……といったデメリットが大きいのではないでしょうか。
まぁあくまでも個人的な実体験に基づいた感想なので一概には言えませんが、よければ参考にしてみてください。
【余談】もしコンサルタントさんに依頼するならココに注意
僕の場合は接客業に従事していたため、毎度「【現場に入ってスタッフ間の空気】を知ろうとしない人が何を言っても説得力がない」と思っていました。
というのも人材育成に関して【教える側への信用】は必須だと思うからです。
いくら立派で、内容に含蓄のある言葉を並べても、発信する相手に「この人の言葉に耳を傾けてみよう」思ってもらえるだけの信用がなければ、場合によって【逆効果】になることもしばしば……。
端的に言うと、もし自分が嫌いな人に「○○は絶対にしたほうがいい」とアドバイスをもらった時に「……この人の言うことを聞いて成功しても嬉しくない」という感情がわいてくる人は多いです。
まぁ、実際こういう考えの人は人生で損をすることが多いと思いますが、結構誰でも持っている感覚なのではないでしょうか。
問題となるのはこの先で、この場合に人間の「一貫性」と「自己肯定」に関わる心理が働き、【嫌いな人が言っていること=正しくないこと】という判断を無意識におこない、そのアドバイスの内容を選択する可能性が下がるという現象がおきます。
やっかいですよね。もしそのアドバイスが的確であれば的確であるほどに。
その情報を受けた人は、人生において有意義な選択をしにくくなってしまうという、一種のマインドブロック状態におちいるわけです。
このあたりは、人材育成に関わる際、十分に注意が必要となりますので、マネージメントに位置するかたは、社員間の人間関係に注視が必要ですね。
という感じで前置きが長くなりましたが、下手にコンサルタントさんに頼ってしまうと「いや、こんなことにお金を使うくらいなら、給料上げてよ……」という考えに加え「それだけの価値があるの?この人の講義に」という疑念を持った状態からの関係スタートになるので、【逆効果】パターンの方が圧倒的に多いです。
その状態を防ぐには……事前にしっかりと【コンサルタントさんとコミュニケーションをとれる場を用意する】といった程度しかないような気がします。
ここまで読んで「コンサルに頼もうと思っていた自分は間違っていたのか……」なんて落ち込まないでくださいね。
むしろここまで読むほどに「社員のモチベーションをあげたい」と考えることができているご自身を褒めてあげてください。
「親の心子知らず」ではありませんが、なかなかこうゆう想いや考えは伝わらないものなので、心が折れないよう、自分で自分を認めてあげましょう。
難しいなら僕が代わりに言います。
「間違いなく貴方は素晴らしい上司です」