接客業において顧客満足度を高めるためには、徹底的なトレーニングと明確なマニュアルが重要です。
ですが、人を相手にする接客業においては、マニュアル通りに進むことは少ない。
しかも、作り込み過ぎたマニュアルは読むのも大変で、結局スタッフさんに浸透しない……なんてこともザラにあります。
この記事では、
- 貴方の手間を減らす『基本的な接客マニュアルのテンプレート構成』
- 貴方のお店に合わせてカスタマイズするためのポイント
- スタッフの記憶に残りやすくするためのコツ
を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
接客マニュアル作成の5つのポイント
接客マニュアルを作成するためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 目的やターゲット顧客を明確にする
- 簡潔で分かりやすい言葉、文章校正にする
- 画像や図表を活用して視覚的に情報を伝える
- 継続的な改善を促すフィードバックメカニズムを組み込む
- 【重要】マニュアルだけで完結させようとしない
構成のテンプレートと利用方法
接客マニュアルのテンプレートは、以下のような構成で作成しましょう。
- タイトル
- 目次
- はじめに(お店のビジョンや接客方針の説明)
- 「作業」と「接客」の基本
- よくある質問と回答集
それでは詳しく紹介していきます。
マニュアル構成①:タイトル
「これが正解!」というものはありませんが、お店の雰囲気に合ったものでシンプルなタイトルをつけましょう。
元気な居酒屋なら、ちょっとふざけた感じで「門外不出!マル秘接客極意」とか、オシャレなレストランなら、シンプルかつスタイリッシュに「Manual」と書いているだけ……といった感じです。
Googleの画像検索で「おしゃれ デザイン」で検索すれば、参考になるものが見つかるかと思いますので試してみてください。
マニュアル構成②:目次
目次は中身が全部できたあと。最後に各項目のページに沿って作成してください。
目次があれば、あとで見返したい部分だけ見返しやすくなるので、読む人にとっては便利です。
ただ、マニュアル全体のページ数が少ない場合(5ページ以下)は、なくても問題ありません。
マニュアル構成③:はじめに(お店のビジョンや接客方針の説明)
自店がどういったサービスを、どんなお客様に提供したいのか。
お店の方針となる部分を明確にしておきましょう。
例)○○店は、日々の仕事に疲れたお客様に癒しのひとときを過ごしてもらうことが最大の目標です。単調で事務的な接客ではなく、お客様が「ホッとする」ような接客を心がけましょう。
マニュアル構成④:「作業」と「接客」の基本
主に項目は「接客の基本」「作業の基本」の2つに大きく分かれます。
作業の基本については、お店によって変わりますが、
- レジの操作方法
- ハンディの使い方
- 開店、閉店の流れ
といった部分があるといいでしょう。
接客部分においては、
- 基本のあいさつ、笑顔
- 身だしなみのルール(髪の色、マスク、マニキュア等)
- クレーム対応
- お店独自のルール(誰かが「いらっしゃいませ」と言ったら他の人も一緒に言う……等)
といった部分があればマニュアルはOKです。
接客の基本を説明する時に悩んだ場合は、こちらの記事を参考にしてみてください>>接客未経験者の不安を解消!接客業界の基礎知識と必要なマナー・スキルを徹底解説
マニュアル構成⑤:よくある質問と回答集
Q&A方式の情報は人の記憶に残りやすいので、スタッフさんからよく聞かれる質問事項などをいくつかまとめておくと便利です。
例}
Q:まかない飯はありますか?
A:一人につき1食用意しています。味は保証しませんが。
といった感じです。
多すぎると読むのが大変なので、多くても15個くらいがよいでしょう。
マニュアルを自店に合わせてカスタマイズするポイント
マニュアルはお店によって変わるもの。
また、ずっと同じものを使うのではなく、時々カスタマイズすることが重要です。
ではどういった部分をカスタマイズするべきか。
いくつか紹介していきます。
お客様のニーズを理解してカスタマイズ
自店のターゲットとニーズに合わせたマニュアルを作るためには、お客様への理解が重要です。
お客様へのニーズを把握するためには、以下の方法を活用しましょう。
- 顧客アンケート
- クレーム処理や顧客対応の記録の分析
- お客様との会話を通じた情報収集
中でもお客様との会話の中には多くのヒントが埋まっています。
マニュアルの話からは少しズレますが、小さな子どもがいる母親をターゲットとしたあるお店。
「子どもがお店を汚すから、気になって外食できない」
というお客様の声をもとに、
「子どもは汚すのが仕事。綺麗にするのが私たちの仕事。気にせずどんどん汚してください」
といったキャッチフレーズとサービスでアプローチ。
これが多くのお母さんの心に刺さり、ママ友の集まる人気店となりました。
こういった成功例を参考に、自店でどういったサービスを提供するかを考えてみることが大切です。
スタッフの意見をもとにカスタマイズ
スタッフ一人ひとり、視点や考え方が違うものです。
マニュアルは責任者だけで考えていると、どうしても内容が偏りがち。
信頼できるスタッフに相談を持ち掛け、意見を募るのも一つの方法です。
スタッフとのコミュニケーションの中から、マニュアルに落とし込むべき改善点を探してみてください。
作るのは責任者ですが、読んで、仕事に活用するのはスタッフです。
スタッフ目線で理解しやすいものにすることもカスタマイズするポイントとして覚えておきましょう。
クレーム処理方法をカスタマイズ
クレーム処理は接客業において避けられないものです。
新人では対処できないことがほとんど。
マニュアルでは、まず基本的にどういった部分に注意するべきかを記載しておきましょう。
- 顧客の不満や問題を真剣に受け止める姿勢を持つ
- お客様の気持ちに寄り添って話を聞く
- 話を正しく理解し、先輩、上司に『報告・連絡・相談』をする
あとはここに『そのお店独自で多いクレーム』があれば足しておくといいでしょう(コンビニでタバコを買う時に年齢認証ボタンに対するクレーム対策など)
接客業においてクレームはスタッフのモチベーションを下げる大きな要因です。
クレームに対する心持ちなど、対応策に関して詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください>>接客クレームに落ち込む前に!効果的な対処法と気分をリセットする方法
【重要】マニュアルだけで完結しようとしない
「マニュアルを作ってるんだから、それを見て仕事して」という人もいます。
あまりお店の運営にこだわらないならそれもOKでしょう。
ですが、しっかりと運営したいなら、マニュアルを作ったあとは、マニュアルを使って練習することまで視野にいれてください。
マニュアルはあくまでもマニュアルであって、完璧ではありません。
同じ文章でも解釈の仕方が人によって違ったりもします。
マニュアルをもとに練習して、そこで初めてスタッフの心に残るということを肝に銘じておきましょう。
接客の練習方法に関してはこちらの記事を参考にしてみてください>>効果的な接客練習法:顧客満足度を向上させるための5つのポイント
マニュアルを「スタッフの心に残すコツ」とは
マニュアルをスタッフの記憶に残すコツは体験談を交えて説明することです。
ただ文章がならんでいるマニュアルは記憶に残りにくいですが、マニュアルを見ながら体験談を話してあげるのはおススメです。
実体験や、つい誰かに話したくなるような事例など(先に紹介したママ友人気店の話など)は、興味を引きやすく、心にも残りやすい。
マニュアルにすべてを乗せるのではなく、あえて口頭で説明することもテクニックの一つとして、ぜひ覚えておいてください。
接客業であれば、個人的には「某夢の国(名前を出すとブログが消されるかもしれないので……)」出身の方が出している接客の感動ストーリーを詰め込んだ本がおススメです。
徹底的なユーザー目線な考え方や、ユーザーを感動に導く沢山のストーリーは心の財産になります。
図書館で借りてみたり、実際に買ってみたりして、ぜひ一度読んでみてください。
マニュアルがあればお店に芯ができる
マニュアルは絶対に必要なもの……ではありませんが、あればお店に統一されたルールができ、一本ちゃんとした芯ができます。
ルールに縛られ過ぎると柔軟な接客ができないというデメリットがある一方、基準があることでスタッフさんが安心して働ける環境づくりにもつながります。
自店の雰囲気や、ターゲット顧客層に合わせて、よいマニュアルを作ってください。
もっと接客業に関するテクニックを知りたい、という場合は以下の記事も参考にしてくれると嬉しいです。
【参考記事】
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