人材育成に携わることの多いスタッフさんがよく口にするのが、
- 最近の若者が何を考えているかわからない
- 最近の若い子をどう指導すればいいのかわからない
といった言葉。
この記事に興味を持ったのは、おそらく同じ思いをしたからではないでしょうか?
最近の若い子をひとくくりにした名称で有名なのが「さとり世代」。
僕が働いていたお店でも、貴重な戦力として何人もの「さとり世代」の若者を採用しました。
現場責任者歴15年の経験をふまえ、さとり世代との働き方のヒントを紹介していきます。
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「さとり世代」の特徴とは
1987年から2004年の間に生まれている人たちのことを「さとり世代」と表現しています。
そんな、彼らの特徴として(もちろん例外もありますが……)一緒に働いてきた若い子たちに共通していることが多い部分を3つに絞って紹介していきます。
- 質問に対して模範解答を返すことができる
- 実年齢に比べて対応が落ち着いている
- 不満があっても限界まで我慢する
「……ん? 何が問題なの?」
恐らく仕事を通じて、さとり世代の若者たちと一緒の時間を過ごしたことがない人にはピンとこないんじゃないでしょうか。
こうやって見ると、何か問題があるようには見えないかもしれませんが、この問題がなさそうに見えるというところが、中堅と言われる年代のスタッフさんを困惑させる要因なんです。
中には「自分が間違ってたのかな……」と心を折られてしまうスタッフさんもいました。
なぜそうなってしまうのでしょうか。
それでは掘り下げて、考察をしてきます。
質問に対して模範解答を返すことができる
こちらの問いかけに対し、だいたいの確立で「模範解答」をしてくれます。
これは言い換えると「模範解答しか返せない」といった方がしっくりくるかもしれませんね。
というのも、今はネットで色々な情報が強制的に入ってくる時代。
それによって彼ら「さとり世代」と呼ばれる若者は、色々なケースの「答え」を知っているんです。
でもそれは誰かが経験して、考えて、その誰かがたどり着いた答えであって、その子の答えではないんです。
過程を知らなければ応用することは難しい……つまり「不測の事態に弱い」ということです。
経験したことがあるのと、知っているだけというのは、出てくる答えが一緒でも雲泥の差があるというのは、言うまでもありません。
なので彼らは「不測の事態」が起きた時に対処ができず、心が折れてしまうというパターンが多いため、教える側の立場の人間は「え!?教えたことちゃんと理解してたよね!?」となり、なぜ彼らが仕事につまづいたのか理解に苦しむという事態に陥ります。
では、どうすればいいか。
答えは簡単です。
経験させてあげればいいだけです。
もしかしたら知識に対して行動が伴わないように見える彼らを「口だけ達者」なんて思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
僕が彼らを見ていて見習わなければいけないなと思う点として「非常に純粋」という部分を持っています。
失敗してもいいんだということを伝え、やらせてあげれば、彼らは驚くべき速度で成長するんです。
頭が良い分、吸収力も高いんですよね。
むしろ追い越されないよう、努力を気の抜けない日々です。
実年齢に比べて対応が落ち着いている
これはSNSが生活の一部として組み込まれたのが大きいと思います。
というのも、ネットの世界は「人の感情が表れやすい」場所ですよね(面と向かっては意見を口にしないタイプだけど、ネットでは知らない誰かを強烈に批判してたり……)
その中でよく感じるのはモラルに対する情報が多いということ。
最近では「モラルハラスメント」や「モラハラ」なんて言葉が生まれたくらいです。
そんな情報に囲まれて育てば、多くの子は「こんなことをしたら嫌われる」ということを学び、嫌われないためのモラルというものが刷り込まれてるのではないでしょうか。
もちろん、良識として大切な部分ではあるので良い部分が多いのは否定しません。
……が、それによって最近の若い子たちに見える傾向として、「喜怒哀楽」のうち「怒哀」の部分を表情に出すのはモラルに反すると判断されているのか「無表情」という形で表現されることが多いように感じます。
ここは中堅世代を困らせる要因の一つ。
分からないんです。感情が。
なので指導の最中、厳しい言葉を伝えなければいけない時、感情の起伏が読めない彼らの表情をみて「何を考えているのかな……」と不安になってしまうんですね。
そして更に凄いのが、彼ら「さとり世代」の若者は簡易的な処世術を身に着けていることが多く、相づちが上手なんです。
話している側としては表面上「ちゃんと聞いてくれている」と勘違いするのですが、彼らの脳内は「うんうん、言ってることは分かる。答え知ってる」となっているため、何が重要かが伝わっていないことがあるんです。
そして結果失敗した時に「あれだけちゃんと話したのに、できないってことは出来ない子なんだ」という誤った判断に行き着くことも少なくありません。
違うんです。しっかりお話をして原因を一緒に探せば、彼らには伝わります。
「できない」と判断する前に、ちょっと立ち止まってみてください。
不満があっても限界まで我慢する
我慢するというか、正しくは「言えない」というパターンが圧倒的に多いんですね。
先にお伝えした通り、モラルに重きをおく「さとり世代」。
そんな彼らは「不満をストレートに口に出すのはモラルに反する」と深層心理で思ってしまっているのか「いい子」でいようとします。
自分ができないこと、自分が間違っていること、全部を飲み込んで先に進もうという気概よりも先に「自分ができないのであればココを去ろう。その方が迷惑も掛からないだろう」という答えに行き着くことが多いんです。
この部分に関しては若さゆえに「責任」というものに対する経験値が少ないため、これが間違った答えだということに気づけないんですよね。
仕事は別に失敗したっていいし、ちょっとずつ仕事をしながら勉強すればいいんです。
厳しい意見ですが、ある程度やって、壁にぶつかった時に自分の限界を決めて辞められてしまう方が、職場……ストレートに言ってしまえば、給料というお金を払っている側の身からすれば、一人前になるまでに育ててきた教育費(研修もタダじゃないですので)が無に還るわけですから。
恐らくこの部分が「さとり世代」の最大の弱点なんじゃないでしょうか?
彼らは「根気がない」んじゃなくて「お金をもらう上での責任の果たし方」を知らないだけです。
非常に優秀な子たちが多い分、先人たちが頑張って伝えていかなければいけない部分だと、強く思います。
また、言い換えれば彼らはある意味で「口下手」なんです。
見えない信号を送っていることもあるので、よくよく気にかけてあげてください。
さとり世代は次世代を担う
ちょっと大げさかもしれませんが、僕はそう感じています。
あまり批判的なことは言いたくありませんが、さとり世代よりちょっと前の世代は、何か根っこの部分で闇が多かったように思います。
というのも「親に問題がる」という風に言わざるを得ない事態に何度も遭遇しました。
もちろん、全員ではありません。
僕自身も含めて言えることですが、世代関係なく「できる子はできる」し「できない子はできない」。
単にその割合が多いなと体感的にまとめた部分を「○○世代」と呼んでいるに過ぎないと僕は考えています。
そんな中、社会に出始めてきた「さとり世代」の若者たちは、先に挙げた通り、基本的に頭が良いという能力に加え、膨大な情報量にかこまれてきた分、目の前の人の言葉が心に届きやすいという、根っこの部分で「純粋」な部分が多いのではないでしょうか。
しっかり向き合っていけば、過言ではなく「ダイヤの原石世代」になり得ます。
ちょっと嬉しい兆しになればと心から思いますね。
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