【接客業から始まった人生:第8話】はじめての企画

ビジネス書を読む自分に酔いしれていた20歳の私。

色々な働き方、考え方に触れているうちに、ふと思う。

「今の仕事ってこれでいいのかな?」

今思うとおこがましいにも程がある、生意気過ぎる考えだが、職場の方針ややり方に不満を感じてしまった。

もっとこうすればいいのに。

こんなんじゃだめだ。

と。

ちゃんと運営や管理のことも知らないくせに、社会を知った風に勘違いしてしまった私。

あれやこれやと考えて、売上を上げるためには、こんな新商品が必要だ、とチーフに直談判した。

そこは優しいチーフ。

若輩者兼ポンコツな私の意見を「やってみていいよ」とひとこと。

意気揚々と新商品を作り、パートの皆さんにオペレーションを落とし込み。

「いや、忙しい時にこれは無理よ」

お局マダムが言った。

今考えれば、その通りよマダム。

全く今までにない作業工程が入れば現場は混乱する。

でも、その時の私に【退く】という選択肢は選べなかった。

選べるほど柔軟性も経験もなかった。

ここで退いたら自分の間違いを認めることになる→そうなればまたマダムに「ほらやっぱり未熟な坊や」とバカにされるかもしれない

そんな思考回路しか持ち合わせていなかった。

「じゃあ自分がオペレーション全部やるんで販売させてください」

もう、意地だった。

全部自分だけでするんならどうぞ。という回答だった。

やるしかない。

結果でみせるしかない。

接客、オーダー、調理をこなすという過酷な戦いが幕を開けた。

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